草野球チームの作り方
草野球チームを立ち上げてもう一度グラウンドへ
日本の国民的スポーツは野球をおいてほかにないと思う。
そう思う理由の一つがプレーヤー(選手)層の厚さ。国内ではNPB、海外ではMLBを頂点に、独立リーグ、社会人野球、大学野球、高校野球、中学野球、シニアリーグ、リトルリーグといたるところに広義の野球選手が存在しています。また、近年は女子プロ野球リーグも設立されるなど性別の差をも超えて裾野は拡がり続けています。
高野連のデータをみても高校野球の部員は実は年々じりじりと増加しており、現在では一学年あたり50,000人以上存在しています。一方で職業野球人であるプロ野球選手は840名が上限(支配下登録70名×12球団)となっています。
仮にプロ野球選手の平均年齢を30歳とおき(実際はもう少し若いはず)、20歳から30歳までの野球人口におけるプロ野球選手の割合を概算すると、840名÷(56,000人×10年)≒0.2%となります。つまり高校野球に打ち込んだ野球選手のうち将来的に野球で食べていけるひとはほとんどいません。残りの99.8%の野球選手たちはどこに行ったのでしょうか? 社会人野球で続けている、独立リーグに参加して続けている、裏方に廻っている、という人々を加えても大半は、どこか野球から離れた世界にいってしまっているのではないでしょうか。
趣味として草野球に触れているひとはどれくらいいるのでしょうか? おおよそ運営が維持できていて活動が確認できるレベルで3,000チームほどは国内にあると思われますが、平均12~15名所属していると仮定として35,000~45,000人。多少のぶれはあったとしても社会人として20歳から50歳まで(は普通に出来るスポーツだと思います)の経験者150万人の母数に対して4万人程度(3%!)しか草野球に親しんでいないのです。ソフトボールも同様でしょうか。
「目標がない」「ケガが恐い」「仕事が忙しい」「メンバー募集が面倒」「ゴルフで充分」などさまざまな理由で野球から遠ざかっているひとも多いでしょう。一方で自分たちのペースで自分たちらしい野球チームを立ち上げ・運営して定期的に活動できる独自の草野球文化が日本にはあります。一度は好きで始めた野球。もう一度草野球に打ち込んでみませんか?チームを立ち上げて運営するにはコツは要りますがそれに見合った喜びがあると思いますよ。
当HPでは管理人自身の草野球チームや交流のあるチームの運営をする皆様から頂いた情報を元に、現役の草野球プレーヤーやこれから草野球の世界に入ろうとしている人、草野球チームを一から立ち上げる・運営したい人など、広義の野球選手、アマチュア野球選手を応援するコンテンツを提供していきたいと考えています。より多くの人が草野球の世界に触れ、楽しみ、豊かに生活を送ってもらえれば嬉しい限りです。多少情報に偏りがあるかもしれませんが、すべて体験に基づいたものです。至らない部分もあると思いますが長い目で見て応援して頂けますと幸いです。
NO BASEBALL, NO LIFE!
草野球チームの作り方(はじめに)
「野球をやりたい」と、少しでも思っているなら、あなたには草野球チームを立ち上げることをおススメします。
- 野球に興味を持っていたけど何となくチャレンジする機会がなかった。
- 部活動は途中で辞めたけど、また自分のペースで野球をはじめたい。
- プロや社会人では続けられなかったけど、一生好きな野球は続けたい。
理由は様々あると思いますが、幸い、日本には【草野球】という素晴らしい文化がすでに根付いていて、その気さえあれば、誰でも野球がやれるのですから。
「でも面倒でしょ?」という意見もあると思います。下記のような点が気になりますか?
- メンバーやマネージャーはどうやって集めるの?
- グラウンドや審判はどう確保するの?
- 対戦相手はどう見つけるの?
- ユニフォームの費用はどれくらい掛かるんだろう?
- 部費は必要?
こちらを順に追って説明してみたいと思います。
メンバー募集
◆メンバーやマネージャーをどう集めるか。
【まずは身近で野球好きを探す】
まず、あなたの周りで野球をやりたいと思っている方を探しましょう。え? 普通ですか? そういわずに学校、職場、良く行くお店などで「私野球が好きで、今度草野球チーム立ち上げようと思ってるんですよ」と試しに言ってみてください。「あ、オレ高校まで野球やってたよ」とか「野球好きなんだけどやる機会なくて」とか「やったことないけど立上げ面白そう!」とか反応が返ってくるはず。もう一押しするのであれば「あなたの周りで野球をやっているひとがいたら紹介してください!」と勇気を持って言うこと。会話の糸口にまず「野球」ということを意識しましょう。
【インターネットを活用して探す】
もしあなたがインターネットを使える環境にあれば主に掲示板、SNS、HPの3つでメンバー募集をしましょう。インターネット上での募集で気をつけることはチームコンセプトを明確にすることと、応募があった際のスピーディーかつ丁寧な応対です。実際に会うわけではないので掲載文言には魂を込めましょう。コンセプトの表現のために、余裕と技術があればチームのHPを先に作るのも一つの手かもしれません。
- 掲示板:草野球公園3番地、草野球の窓、野球天国、草野球オンラインなど
- SNS:Labola 野球など
- HP:行くぜ!(野球専用HP)、時間に余裕があればオリジナルHPを作成するなど
いずれも最も大事なのは【新規チームを立ち上げる】【創立メンバーを探している】ということをしっかり強調すること。もちろん【どんなチームにしたいか】が一番重要です。コンセプトを決めずにチーム運営をはじめるといずれ分かれてくるのが<勝ちにこだわりたい>派と<楽しければ良い>派。ここはしっかり最初の段階で話し合って決めておくほうが良いと思います。毎週活動し、大会にも出て上位を目指すのか、それとも月に1回でも楽しく試合ができれば良いのか。練習はするのかしないのか。土曜日か日曜日か、両方か。活動地域はどこを中心にするか。などなど。
ご参考までに、募集文面を考えてみました。
【20XX年4月に新規チーム立上げ予定:創立メンバー募集中!(夢は全国制覇)】
この度新たにチームを立ち上げます。草野球界のてっぺんを獲るためのメンバー募集です。具体的には●●全国大会での優勝を目標とし、毎週2試合土曜日に活動することを目指します。主な募集要項は以下です。ぜひ熱い野球魂をお持ちの方からの応募をお待ちしております。
活動予定地域:東京都大田区
募集期限:~2月28日(3月1日に決起集会を行い、ユニフォームデザインも決定します)
人数:9名~
ポジション:不問(当方一塁手)
経験:高校、大学、社会人、のいずれかで野球経験をお持ちの方
年齢:20~30歳前後
部費:年間10,000円(グラウンド代は別途参加時徴収)
ユニフォーム:相談のうえ決定発注しますが20,000円前後を想定
★マネージャーも同時募集です! スコア付けられなくても大丈夫。お気軽に!
参加されたい、またはご不明な点がございましたらご遠慮なく●●●●@gmail.comまでメールください!(必ず2日以内にお返事差し上げます)
グラウンド・審判
◆グラウンドの確保をどうするか。
メンバーが集まって、ユニフォームもどのようなデザインにするか決まったら、ユニフォームの出来上がるまでに、まずはグラウンドでキャッチボールとかノックとかフリーバッティングとかしたいところですね。ということで、グラウンドの確保についてまとめます。ここがチーム運営で一番力がいるところかもしれません。グラウンドが無ければ練習も、試合もできませんからね。費用は人工芝や河川敷などで異なりますが大まかに3,000円前後のものが多いです(ナイター料金は除く)。
まずは各地域でグラウンド(施設)の利用者登録が必要です。それをもとに事前にインターネットなどで希望の場所の抽選に申込、当選すれば、当日グラウンドに向かい管理事務所で精算手続きをする流れで利用できます。抽選が外れた場合はキャンセル待ちです。大まかな流れは上述のとおりですが、地域によってかなり仕組み(システム)が異ってきます。東京であれば東京都、各区でそれぞれ異なります。区内・区外で分け、代表者やメンバーが住む区、勤務先の所在する区、で登録できる団体や利用できる機能を制限したり、利用料金を高くしている場合が多いようです。
よって、区内団体として登録する、という前提で、以下に、私のチームの例をとって主だった違いを説明します(区外団体で登録すると料金が倍になることもありますのでここでは割愛します)。詳細はご自身が住まわれる地域の県や区のHPなどをご覧下さい。
- 【東京都】:都内に住んでいれば個人登録可能。その分競争は激しい。チームメンバー全員で登録し登録カードは代表者・担当者がまとめて管理するのがベスト。一人2枠毎月の抽選に参加できます。
http://www.tokyo-park.or.jp/sports/h-reserv.html
- 【目黒区】:構成員の半数以上が区民(区内在住、在勤または在学のかた)で、代表者が区民である団体。区外でも登録できるが料金は倍になります。
http://www.city.meguro.tokyo.jp/online/yoyaku/sponet/index.html
- 【大田区】:区内在住、在勤であれば個人登録で利用可能。
http://www.city.ota.tokyo.jp/shisetsu/uguisunet_annai/index.html
- 【世田谷区】:構成員の半数以上が世田谷区内に在住・在勤・在学であること。代表者は、原則として世田谷区在住であること。料金は口座引落
http://www.city.setagaya.lg.jp/kurashi/107/165/819/
- 【港区】:全員が区内在住、もしくは勤務先所在地が区内。
http://www.city.minato.tokyo.jp/map/
- 【駒沢オリンピック公園】:団体登録。代表者のみで登録手続き可能です。
https://sports.tef.or.jp/user/view/guide/index.html
◆審判の確保をどうするか。
草野球では7,000円程度で1試合2時間の派遣審判をお願いするケースがあります。派遣審判をお願いしない場合は一般的には攻撃側が審判をすることが多いです。派遣をお願いするメリットは【手間が掛からないため試合に集中できる】【一定の公平さが担保されている】ということ。一方でデメリットがあるとすれば判定のレベルに個人差があるということ。基本的にはみなさんプロレベルの審判というわけではないため、判定も曖昧なときもあります(好みのコースや高低など個人差があります)。その点を許容したうえで利用することをお勧めします。
派遣審判を利用する場合、派遣をしている団体にお願いする、もしくは一度派遣できていただいた方と個人的につながりを持って継続的にお願いする、のいずれかになろうかと思います。
- 派遣団体(首都圏):首都圏野球審判協会など
※上記以外もありますので「野球 派遣 審判」などでインターネット検索をしてみてください。
ということで、1試合2時間を審判付きで行うにあたって全体で10,000円前後の費用が掛かります。それを2チームで折半すると1チーム5,000円、それを10人で割れば1人当たり500円となります。
対戦相手を探す
◆対戦相手はどうやって探すのか。
これはグラウンド確保が出来ていれば比較的簡単。無くてもこまめにサイトをチェックすることで回避できます。主に下記のような掲示板などで募集します。
- 草野球公園3番地
- 草野球オンライン
- Labola野球
- 草野球の窓
- 野球天国
上記が代表的なサイトになります。ほかにはSNS内の野球コミュニティや、私設リーグのサイト内での対戦募集をしている場合もあります。グラウンドを確保していなくても掲載されている募集情報に対して応募するという手もありますので随時チェックをしておくと良いでしょう。
そして実際に対戦をして、チームレベルやマナーなどをみて、再度対戦したいな、というチームには個別で連絡を取るということも多々あります。一歩進めてメーリングリストで対戦相手募集情報を流しているチームもあります。そうすることで掲示板よりスピーディーに試合を組むことができますので余裕があればそのような方法を取っても良いかもしれません。
ユニフォーム
◆ユニフォームを作るのにどれくらい費用がかかるのか。
やはりジャージじゃ締まらない。チームを立ち上げたからには格好良いユニフォームをつくりたい。
費用はユニフォーム上下+帽子で20,000円前後というのが相場です。ブランド、素材、色使いなどによって左右されますが大きくは外れないでしょう。
近くに野球用品店があればそこでカタログを見ながら選ぶのもよし。ネットでWEBカタログを見たり、3Dシミュレーションシステムを使ってメンバーがひとりずつデザインを考案し、プリントアウトして持ち寄るのも盛り上がります。下記代表的なメーカーをご紹介します。
- MIZUNO(ミズノ):http://mos.mizuno.co.jp/baseball/
- ZETT(ゼット):http://zett-baseball.jp/
- DECENT(デサント):http://www.d-league.jp/
- REWARD(リワード):http://www.reward.co.jp/
一度作成すれば最低でも2~3年はデザイン変更をしないものですから、しっかり考えましょう。また、チームとしてのカラーが固まってきたら、グラウンドコートを揃えたり、Tシャツを揃えたりなどしたくなります。そのためにもまずはチーム名とロゴにはこだわりたいですね。
部費
◆部費は必要か。
これは必要だと思います。ただし、メンバーの数や大きな購入品の有無によって年ごとに上下させる程度の柔軟な対応と、概算でも予算と実績を把握して共有するべきだと思います。参加率によって不公平にならないようにするために、チームでかかるお金を以下に分けて考えるとよいと思います。
- グラウンド代・審判代は参加に応じて徴収(部費と分ける)
- 大会エントリー費、バットなどの野球用品、ビデオカメラ、救急用品、などの備品に部費を充てる。
- 飲み代は参加時に頭割り(部費は使わない)
私の所属しているチームでは、1.を前払い制(参加時に人数割りし記録)、2.を半期毎に5,000円徴収としています。3.は都度ですが若手からは少なめの徴収としています。
また、参加率が高いメンバーのなかで会計担当を置くと運用が楽かもしれません。
お金に絡むところは公明正大に。というのが基本です。
草野球大会
大会への参加について。
活動ペースが掴めてきたところで「一つくらい大会に出てみない?」という意見もでてくるかもしれません。負けず嫌いがどの程度いるかにもよりますが、勝つのが楽しい、と考えられるメンバーが多いなら、何らかの大会に出てみることをおススメします。
活動日にもよって変わってきますが、日曜日主体であれば、区大会など地域ごとの大会に参加するのが良いかと思います。印象としてはユニフォームをアンダーソックスまで全て揃えなければならない、ヘルメットは絶対着用、など厳しいルールがあるのが難点ですが、一部・二部・三部などとレベル分けもされているので適度なレベルで試合ができるかと思います。もちろん日曜日主体の私設大会もありますので併せて検討すると良いと思います。
私設の大会であれば全国大会のあるものから地域リーグのようなものまで各種様々あります。以下、代表的なものをご紹介します。エントリー費は各大会によって異なります(連続出場などでの割り引きもあります)ので、各HPをご参照下さい。
- GBN全国草野球大会:関東、中部、関西、九州地域にまたがり大会を開催。レベル別決勝戦は東京ドーム。
- ストロングリーグ:老舗リーグ。トーナメント戦も開催。東日本、西日本。
- SCL:土曜日開催。交流を重きに置いたリーグ。年1度のオールスター戦も行っています。
その他にも魅力的な大会、リーグはありますので、色々探してみてください!